取引先の信用悪化リスクを管理する
このメディアは、株式会社KMSをスポンサーとし、
Zenken株式会社が運営しています。
取引先の信用悪化により、自社のキャッシュフローが急激に悪化することもあります。特定の少数企業のみと取引している中小企業においては、キャッシュフローの悪化にとどまらず、連鎖倒産という最悪の事態へと発展するかもしれません。
取引のスタート時点では多くの経営者が行っている信用調査ですが、以後も継続的に信用調査を行っている経営者は、決して多くありません。不測の事態に備えて取引先を多様化すること、また、定期的に取引先の信用チェックを行うことが大切です。
取引先の信用悪化がもたらすリスク
取引先の信用悪化がもたらす主なリスクの1つが、売掛金の回収が困難になること。信用が悪化した取引先は、支払い能力が低下している可能性が高いため、現状の余力によっては自社の売掛金を回収できなくなるかもしれません。支払い能力が低下していれば、すでに契約済みの案件を一方的に破棄される恐れもあるでしょう。
また、特に中小企業では少数の取引先への依存度が高いため、わずか1社の取引先の信用低下が、自社の事業継続に大きな影響を与えかねません。仮に信用低下した取引先が倒産した場合、自社も連鎖倒産する可能性があります。
特定の取引先へ過度に依存している企業は、取引先との関係におけるリスク管理が非常に重要となります。定期的に取引先の信用状況をチェックするとともに、徐々に取引の多角化も進めていくことが大切でしょう。
取引先の信用悪化を見逃す経営者の現状
大半の経営者は取引のスタート時点で取引先の信用調査を行いますが、その後の信用悪化を見逃す経営者には、取引先の信用を継続的にモニタリングしていない傾向が見られます。
取引先の信用状況は、常に変化する可能性をはらんでいることを忘れてはいけません。信用が向上することもあれば低下することもある点を踏まえ、取引開始後も定期的に信用調査を行うことが大切です。
信用調査に関連し、取引先の財務状況や市場での評判も継続的にチェックすることが重要。チェックする時間の余裕がないことは理解できますが、自社の事業継続に関わる大事なポイントであることを理解し、取引先のチェックの優先順位を上げなければなりません。
取引先の信用調査や財務状況、市場での評判を継続的に行わなければ、信用問題が表面化するまで対策を取ることができず、結果として自社のキャッシュフローに甚大な影響が及ぶことを再確認する必要があります。
取引先の信用悪化に備えるために経営者がすべきこと
取引先の信用悪化に備え必ず経営者がすべきことは、取引先の定期的な信用状態の確認です。後述する信用調査機関から情報を得ることに加え、定期的に財務状況を確認したり、市場での評判にアンテナを張ったりなどし、いち早く取引先の信用不安をキャッチできる体制を作りましょう。
また、信用に不安のある企業と取引する場合には、先払いや短縮支払いなどの条件を提示することもリスク軽減には有効。特に信用が低い企業と取引をする際には、保証金を求めることも有効なリスク回避対策となるでしょう。
以上の対策を実行へ移すためには、取引先のモニタリング体制を構築することが前提となります。信用調査機関からの情報取得や市場での評判チェックなどを業務フローの枠組みの中へ入れ、常時取引先の状況をモニタリングしましょう。
また、信用リスクの高い企業と取引する場合には、個別でのリスク管理計画や具体的なアクションプランを策定しておけば、万が一の事故が発生した場合でも慌てずに対応できるでしょう。
まずは信用調査と取引先評価の実施を
取引先の信用状況に関する具体的な情報は、外部の信用調査機関から得ることができます。
信用調査機関とは、対象となる企業の財務状況や業績データ、市場での評判などを総合的に評価している専門機関のこと。外部からの依頼に応じ、有料で調査結果を提供しています。定期的に信用調査機関から情報を得ることで、取引先の信用悪化の予兆を早めにキャッチできるでしょう。
信用調査機関からの情報に加え、万が一のトラブル発生時に迅速に動けるよう、自社でも取引先の決算書や業績データを分析することも大切です。
なお、現在は信用力の高い取引先でも、永続的に高い信用力が維持されるとは限りません。可能であれば、すべての取引先ごとに個別で評価を行い、それぞれのリスクに応じた具体的な対応策を策定しておくよう推奨します。
将来のリスクを最小限にするための対策
取引先の信用力に起因するリスクを回避するための対策としては、取引先の多様化が有効です。少数の特定企業に依存し過ぎた取引では、わずか1社の信用力低下により自社の業績も連鎖的に悪化する可能性があるからです。
また、契約時に明確な支払い条件を設定することも大切です。支払い期日の設定や前払い、分割払い、保証金等の条件を設定し、可能な限り未回収リスクを抑えましょう。
加えて、リスク管理の仕組み作りにも取り組む必要があります。リスク管理の仕組みがしっかりと構築されていれば、不測の事態が生じたときでも、被害を最小限に抑えるための冷静な行動を取ることができます。取引先の信用力評価の定期的な実施を自社の業務フローに入れ、長期的な信用リスクのヘッジ体制を構築しましょう。
